不登校引きこもりの高校生を救ったのは塾の英語学習・英会話。実話を元にした経験談を公開。
By 田中先生なぜ不登校・登校拒否になったのか?引きこもり状態から外に出た彼が取った驚きの行動とは?不登校の真相に迫る実話を元にした経験談
目次
前書き
この実話を元にした物語は不登校引きこもり状態から抜け出した高校生が当時の心境や、不登校のきっかけ、鬱状態の様子を実体験に基づいて語る形式の経験談になります。
当時の状態を精確に記録しているため、お読みいただく際に読み苦しい点、ご不快な点などによりご気分を害されぬようご注意ください。
序章 ~不登校当時の心境を振り返る~
明かりが怖かった。
誰かから見られている気がして嫌だった。
だから1日中部屋を暗くしていた。
人と会うのが怖かった。
誰のことも信じられない。
だから一歩も外に出られなかった。
歩くのが怖かった。
だから一日中体育座りで過ごしていたんだ。
話す言葉は1つだけ「消えたい」「消えたい」1日中繰り返していた。
第1章 中学生 ~成績優秀スポーツ万能の生徒会長~
僕は勉強が好きだった。
兄が通っていた英会話教室が羨ましく、中学1年生になったとき母にお願いして通わせてもらった。
英語が好きだった。海外の先生との英会話は大好きだった。
英語を話しているときは開放的で明るい気持ちになれるから。
学校で友達と話すのが好きだった。
友達に喜んでもらうことが大好きだった。
だから生徒会長をやっていた。
全員が家族のようでとても楽しかった。
体を動かすことが好きだった。
毎日欠かさずトレーニングして、少林寺拳法で中学の全国大会にも出場した。
全国大会で入賞という結果を残すことができた。
怪我が多かった僕は整体の先生にたくさん助けられた。
将来はスポーツトレーナーとして頑張る子たちを支えたい。
この頃はそんな夢を持っていたんだ。
第2章 高校生 ~不登校のきっかけ~
楽しい中学生生活はあっという間に過ぎ去り、高校へ進学した。
高校1年生で生徒会に入った。
1年生では僕ともう一人。
生徒会活動を通じてもう一人の生徒会員とは友人になった。
しかし1年間ともに頑張ってきた友人は高校2年生になるときに生徒会を辞めてしまった。
一人で不安だけど周りの人は僕に期待してくれている。
期待に応えたい。
僕は高校2年生で生徒会長になった。
進学後の高校には少林寺拳法部がなく、進学後も続けるために自ら学校に願いを出し、創部した。
中学校時代の少林寺拳法の先生に指導してもらい、学校が終わったあとは中学時代の練習場で夜遅くまで練習した。
スポーツを学べる大学に行きたい。
全国大会で結果を残し、推薦受験で大学進学を目指す。
そう考えていた。
高校2年生の12月、怪我に苦しみつつも、足の痛みを抑えて、なんとか地区大会を勝ち抜き3月の全国大会出場が決まった。
足の痛みは日に日に増していき、ついに練習ができなくなった。
病院に行くと生まれつきの股関節の機能不全が見つかった。
手術をしたとしても全国大会出場は絶望的だった。
それは突然の出来事だった。
高校2年生の1月、母の身体に悪性の腫瘍があることが見つかった。
不安だった。
世界的に大流行した感染症はまだ収まる気配を見せない。
抗がん剤治療中の母のため外出は控えるようにした。
仮に外に出られたとしても足の痛みで練習できない。
手術をすれば治る。
しかし春の全国大会には間に合わない。
そして、夏の全国大会予選への出場も絶望的だった。
少林寺拳法の先生に春の全国大会を棄権することだけを伝えた。
先生は言った。「夏の全国大会予選に向けて頑張ろう。」
僕は「先生、手術を受けても高校最後の大会には間に合いません。」その一言を伝えることができなかった。
母の癌発症による不安、生徒会長としての周りの期待に答えなければいけないという責任感、そして股関節の病気による将来への絶望が重なった。
頭の中で何かが切れた気がした。
もう何もやりたくない。考えたくない。もう疲れた。
その日から学校に行けなくなった。
第3章 不登校 ~引きこもりからの脱出~
母が学校の先生と相談し、特例でのリモート受講が認められた。
しかし全く力が入らない。
毎日続けていたトレーニングも日に日にできなくなった。
はじめの頃は料理もできていたがそれもすぐにできなくなった。
トイレと部屋を往復する日々。
毎日暗くした部屋の中で1日中体育座りをして、
「消えたい」「消えたい」とつぶやいていた。
髪の毛はどんどん伸びていった。
高校3年生の5月に高校最後のインターハイ予選が出場することなく終わった。
「髪を切らなくちゃ。」ふと、そう思った。
時間は夜中3時。
物音に気がついた母が「少し散歩でもしない?」と誘ってくれた。
「うん。行く。」
誰もいない暗い中、母と歩いた。
歩けた。足も痛くない。
ある日、父が「山へ行かないか?」と誘ってくれた。
僕はついていくことにした。
山に入ると誰もいない。
自然と足が動いた。
明るい世界で自然に包み込まれる。
嬉しかった。
ただ歩ける、そのことがこんなにも嬉しいことなのか。
そう思ってからは毎日家の裏山を歩くようにした。
学校まで20kmほどあるが自転車で往復してみたい。
そう思った。
自転車で学校に行く。
でも授業には参加できない。
人と会うのが怖い。
担任の先生は毎日僕が行くのを校門で出迎えてくれた。
僕は家と学校を自転車で往復することをただ毎日繰り返した。
山に救われた。
そう感じた僕は山岳部のある大学へ進学できないかと考えた。
ある日学校の先生が山岳部のある大学への学校推薦を用意できると提案してくれた。
しかし問題があった。
学校推薦を受けるためには定期試験を受ける必要があった。
定期試験は教室で受ける必要があった。
怖い。でも恐怖心を押し殺し学校に行った。
定期試験を受けることができた。
しかしこれが良くなかった。
全く眠ることができなくなった。
元気にならなくちゃ。
応援してくれる学校の先生のためにも、家族のためにも。
今までで一番ひどい状態になった。
おそらくこの頃の僕はうつ状態になっていたように思う。
「自由ってなんだろう?」
「生きる意味は?」
「言葉って何?」
1日中真っ暗な部屋の中でひたすら考えていた。
見かねた母が僕を知り合いに紹介してもらった精神科に連れて行った。
僕はお医者さんに言った。「元気になる薬をください。」
お医者さんは僕にこう言った。「君は元気になる必要があるのかな。僕からしてみたら君のように将来に悩んでいる、そのときがとても素敵だと思う。そのままでいいんだよ。」
その言葉で僕の心は本当に救われた。
ふと、絵が描けるような気がした。
これまでちゃんと絵を書いたことは一度もない。
でも今は、不思議と色の気持ちがわかる。そう感じた。
暗闇の自室で考えていたことを形として残したいという衝動に駆られた。
描いた絵をもって、病院に行く。
僕の描いた絵を見てお医者さんが喜んでくれた。
学校の先生にも絵を贈った。
僕の描いたものが誰かのために役立つならもう少し生きていてもいいのかな。そう感じた。
第4章 旅 ~英語学習と英会話が海外に導く~
旅に出たい。
いろんな世界を見てみたい。
自転車に乗れるようになった頃そう思った。
母の知り合いでイギリス在住の日本人男性がいた。
「イギリスに行ってみる?」
母にそう言われた。
英語には自信があった。
「うん。行ってみたい。」
そう答えた。
母の知人を頼りイギリス生活を始めた。
その人が僕にこう言った。
「僕は昔ファッションデザイナーを目指していたんだ。でも夢破れて、今はイギリスでフリーランスとして働きながら、趣味でデザインをしているよ。」
一緒に生活しているとその人はまとまった期間仕事をしているが、自由な時間が多いように感じた。
すごく充実した生活を送っている。
「30歳まで夢に向かって全力で進んでごらん。夢が叶わなくとも僕のように生きていくこともできると思うよ。」
僕が描いた絵を皆が嬉しそうに受け取ってくれたことが心の支えだった。
絵描きになってみたい。
そう思っている僕の背中を押してもらった気がした。
画家になれるかはわからない。
だけど挑戦してみたい。
イギリスでは、レガッタの博物館、ロンドンのナショナルギャラリー、シャーロック・ホームズ博物館など芸術に触れた。
しかし、何かが違う。
ヨーロッパをまわって色々な芸術に触れてみたい。
イギリスに別れを告げて、スペインに向かった。
担当講師のコメント
「先生、僕これから海外に行ってきます」とご連絡頂いた時の嬉しさは今でも鮮明に覚えています。
海外に飛び立たれて現地にいらっしゃる時に生徒様ご本人とお電話させていただいた中で、当時を振り返った話となりました。
「先生に会うまでは英語は勉強の対象でしかありませんでした。でも先生の授業で英語は楽しむものだということがわかりました。」
この電話で生徒様が仰っていただいた言葉こそ、私が英語指導する上で生徒様ひとりひとりに感じていただきたいことであり、現にそれを体現してくださっていることに大変嬉しく思い、心より感謝しております。
2024年3月時点で不登校は年々増加の傾向にあります。
不登校となる原因は多種多様であるため、その対応も生徒様の描く将来や環境に応じて変えていく必要があると思います。
ご担当させて頂いている生徒様たちのご様子や保護者様からのご相談を通じて、私自身も学んでいる最中です。
本記事が1事例としてご参考になればと考えております。
この記事は実際の生徒様保護者様からのインタビューを元に作られたノンフィクションストーリーです。
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